クリニックの設計

ーぜんしん整形外科・立川スポーツリハビリクリニックの設計ー
施主である守重昌彦医師は、肩関節においては日本屈指の治療技術をもつスポーツ整形外科医だ。自らの医療技術と理学療法士が行うスポーツリハビリテーションを駆使し、スポーツ選手はもとより、多くの患者のつらさを和らげる実績を積み上げてきた。
2018年6月に立川駅北口、立川通り沿いのフロム中武7階にクリニックを開業した。このクリニックの設計、工事監理を担当させていただいた記録をまとめた。

ぜんしん とは?

キーワードに込めた3つ+1の意味

Image
守重昌彦 医師

局所から“全身”へ。
痛いところ怪我したところだけを治しても、けがをした理由や実際に痛い場所に悪影響を及ぼしている部位を治さなければ、直したことにはならない。

“前進”
健康寿命を決定する大きな要素が整形外科で扱う運動器。診療技術は日々変化し、進歩し、リードしていくために、我々の前進が必要。結果として患者が治療の前進を実感できる。

“善心”
残念ながら、実際に自分の経験や研究、儲けをみて患者を操る医師も少なからず存在する。我々は善の心に従いベストの治療を患者に提供したい。

結果として我々は患者や地域社会から全幅の信頼、すなわち“全信”を得ることが目標なのだ。

このように明快に開業への考え方を提示いただいた。
そこで、私たちも設計を進める中で3つの ”ぜんしん” を空間として体現できたクリニックを一緒に紡ぎだして行く想いで設計を開始させていただいた。

設計プロセス

細長いテナント区画の使い方を考える

まず、基本条件としてヒアリングシートにより要望の確認を行った。
第1案~4案までヒアリングシートをやり取りしながら、検討案を絞り込んでいった。
課題となったのは、共用待合との関係、共用部からの入り口の視認性、診察室の数、リハビリテーション室の面積、位置などであるが、この段階では、明確に場所を絞り込まずに、複数案を示した。その過程で、ヒアリングシートの精度を高めていった。
Image
初期案2案
ヒアリングシートは、「おおきなこと」から「ちいさなこと」に向けて焦点を絞り込むように、何度か段階を踏んでやり取りをした。図面とともにヒアリングシートを送り、メール返信をうけるやり方であったが、施主からの密度高い回答があったため、様々な問題をこの段階で緻密に共有できた。それにつれて、プランニングやデザインの方向性も見えてきた。
Image
ヒアリングシート例
最終的に平面計画案は8案つくった。この段階で、模型、CGなどを用いていくつかの案を提示し、”ぜんしん”のテーマとデザインを結びつける作業を行った。
また、工事の段階では、原寸の材料を用意し、現地で確認をしながら、施主の印象との間にブレが生じないように進めていった。
Image
決定平面
Image
インテリアデザインの変遷
個別の空間は、人物を入れたスケッチや、大きさのわかるスケッチ等を作成し、より使い勝手が想定しやすい資料を手早く作成、提供することでイメージを高めてもらうように努めた。
Image
個別空間のコミュニケーションスケッチ

コミュニケーション

ここでも "ZENSHIN" を全面に

ホームページを先行オープンさせるため、ロゴデザインを手掛けることになった。施主から与えられたモチーフはぜんしんの”Z"。
いくつかのスケッチを持って行き、調整してゆく中で、Zガンダムのロゴのような疾走感を持たせてゆきたいということになった。多くの人に印象をもってもらえるロゴが完成した。
Image
ロゴデザインの変遷
封筒やリーフレットのデザインも手掛けさせていただいた。
Image
封筒やリーフレットへの展開

デザインと”ぜんしん”

デザインの上で、考えたことのまとめ

1 「全身・全体」に響くデザイン
 クリニックモール全体が、「元気になるための場所」となるように、共用待合空間との間を可能な限り開放的にした。クリニックモール全体の案内性にも配慮し、界壁のデザインが全体の案内性を向上させるようにデザインしている。
Image
アクセントとした、赤い壁のところに、クリニックモールの誘導サインが仕込まれている。
Image
元気になるためのクリニックモールの雰囲気を共用待合との間で共有する、開放的な受付まわり。
2 「前進」できる器をつくる
 クリニックの発展のために、診察室の数やリハビリテーション室の広さに余裕を持たせるためのスタディーを積み重ねた。また、スタッフ、患者が皆で学びあえるクリニックとして、リハビリテーション室を多目的に使えるように配慮している。
Image
診察室1:赤の部屋
Image
診察室3:黄の部屋
Image
リハビリテーション室:通常時
Image
診察室2:緑の部屋
Image
診察室4:紫の部屋
Image
リハビリテーション室:会議利用時
3 「善心」に満ちた環境を
 善の心に従い、患者にベストな医療をとの考えに応え、誰にでも、心地よく利用してもらえるような計画を心掛けた。中高生が宿題をするカウンター机の設置や、キッズスペース、誰にでも視認できる大きなサイン、立体的な表現で、案内したい場所をわかりやすく表現したマップなどは、施主との話し合いで生まれた配慮である。

Image
視認性の高い文字サインと定点カラーをもった診察室等のサイン
Image
元気になる場所としてのユーモアを込めた、チカラこぶをあしらったリハビリテーション室のピクトサイン
Image
待合のベンチと機器の棚、作業台、書籍棚を柱周りに集約したリハビリテーション室のワークステーション
Image
施主の専門分野である肩関節をモチーフにしたX線室のオリジナルピクトサイン
Image
中高生が待合の時間をむだにせず勉強ができる「宿題カウンター」
Image
誘導したところを立体的に表現した、視認性の高いフロアマップ

クリニックの設計は私たちにお任せください。ご連絡は下記フォームから!。

Image

株式会社岡田新一設計事務所は、都市や建築の調査、研究、計画、設計、工事監理をトータルに手掛けます。平成26年10月に岡田新一、平成28年10月に岡田弘子 が他界した後、その薫陶をともにした精鋭たちにより継承されており。現在は津嶋功と柳瀬寛夫の社長2人体制で、これからも良質な建築を提案、設計し続けてゆきます。

© 2017 Okada Architect & Associates. All Rights Reserved.

Search