3.パラダイムシフト −量から質へ−

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行政において、ハイテク領域とローテク領域を分け、それぞれに適した行政を行うべきことを述べましたが、それと同時に20世紀の「量」の時代から21世紀は「質」の時代へ移る、量から質へ転ずるパラダイムシフトが行われなければなりません。それはとくに、ローテク領域の問題です。
親子代々が好む場所(故郷と云えるもの)に住み続けることができること、都市の中に公園や緑地などの空間が豊かで、車の危険なしに歩くことができること、広い住居に家族が共に住めること、住まいの近くに店があって日常の買い物は老人にも便利であること、教育の場である学校やキャンパスの空間が学ぶ学生達の精神や心に良い影響を与えるように美しいこと、風邪や腹痛などの軽度の病いは近くの診療所によって診察をうけることができること・・・等々現在私達の身の回りでは充足されていない数多くの問題が指摘されますが、これらは全て「質」に関わることで、とくにそれはローテクノロジ−領域の問題です。
また、国家的レベルで考えれば、日本を代表する美しく豊かな、国際的評価と尊敬とをえられる首都をもつことが、「質」の時代では重要なことになります。それがハイテクノロジ−領域における問題といっしょくたに考えられることによって曖昧にされてしまうのです。

これまでは、「ハイ」───大量、大きい、新しい、という量への指向が社会を支配していましたが、これからは「ロー」という足元の社会の質の向上へ向けて、目標をとらなければなりません。
ハイテク領域では、未来を見つめて新しいものを創造する(井深氏の哲学)姿勢が貴ばれますが、ローテク領域では温故知新、古いものを訪ねながら新しいものを創造していく、というような古来からの哲学が再考されるべきであり、対処する姿勢が違います。

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