5.諸問題を統合する方策

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新しい国土としての"新しい都市環境を創る"ためにはあらゆる問題が統合的に計画されなければなりません。
ここで、建築を創るということを考えてみたいと思います。建築を創ることは、その設計過程で数多くの、無数ともいえる諸問題を解決して一つの建築にまとめるという作業です。地理・風土・歴史並びに設計条件をレヴュ−した上で、先づイメ−ジを抱きます。次いで、システムマスタ−プラン(コンセプト)を創り、その流れに沿ってマスタ−プラン、基本設計、実施設計が完成します。次に建設工事に入るわけですが、設計者の監理の下で工事が進められ竣工します。建物は利用者によって使われ、その使われ方が調査され、次の設計にフィ−ドバックされます。このような流れの中で、ソフト、ハ−ドを含めて多くの問題が統合されるのが建築の設計です。それは建物の設計とは別なものです。このような設計の方法を"新しい都市を創る"ことに応用します。基本設計から実施設計にかけての段階では建築の形がでてきますが、形がでる以前の段階、即ち、目標となるイメージを描きながらシステムマスタ−プランをつくる段階では、未だ明瞭な形は現れません。この段階をふむことが建築を創るうえには非常に大切なプロセスなのです。このような建築設計の方法が"都市を創る"ために活用されなければならないと考えています。現時点における政治、行政の状態ではイメ−ジを明瞭にもった"創る"という視点が入っていないのです。システムマスタ−プランの存在をなくしては、統合的にまとめていくことは不可能です。都市を創り、国を創るための重要な方法が抜け落ちています。これでは秀れた都市環境、美しい国土を創ることは覚束かない。
諸問題を統合して新しい国土を創るためには、具体的なプロジェクトとして「新しい国土」をつくることを目標として、その設計を行うことです。それは新しい国土の形を創るための図を描くことではありません。制度(税制、土地所有制等)環境密度、施設配分、交通体系、住居計画、そして文化、教育、生産、流通等全ゆる分野にわたる都市生活に関わる問題を総合的に計画(システムマスタ−プラン)することです。
このプロセスは建築の設計プロセスに類似しているのです。建築の設計は、環境のもつ文脈、建主の要求、そして建物の内容のもつ全ゆるソフト(法制、制度、機能、そこに含まれる生活や振舞など)を総合し、イメ−ジに合致した建築を200年、300年存続するハ−ドな存在として実現させます。それは、先に述べた「新しい国土を創る」ためのプロセスに重なります。
具体の一つとして、日本の首都の問題、それをどのように新しく、美しく、創っていくかという問題としてとりあげています。

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