- 既存自治体との関係――ゆるやかな改革
2005年を目標年度とする町村合併の中で、都心5区(又は都心23区、特別区)が現在議論の対象になっていない。
残された大きな問題(町村合併に関わる)である。
<東京湾からの発信>では都心5区(千代田、中央、港、文京、台東)を合併し、東京湾に制定されるオーソリティ(特区)
と結ぶ「東京DC」をつくることを提言している。<図20−1>
この合併は、5区の自治領域はそのまま残しながらさらに高次の行政都市として東京DCを構成する。
10「町村合併をIT手法で行う」項で考察したデジタルネットによるIT政府により、それは可能になる。<図20−2>
町村合併の次のステップとしては道州制を導入することである。町村合併によってもたらされるベーシックなコミュニティ
(自治体)と中央政府を結ぶものとして数県を束ねた面積規模をもつ行政機構の存在が国土を形成する上で必要条件になる。
即ち、道州制の導入である<図20−4>
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<図-20-1> |
<図-20-2> |
ヤジロベエ構造都市は48番目の自治体であるが、州都としてIT政府を形成する。特別区(新宿、渋谷等)千葉、川崎、
横浜等との関係はデジタルネットであり、アナログ関係を持たないところに特徴がある。
- 湾岸自治体との関係
<東京DC>の湾内腕の部分は海域に線引きされたバーチャル領域である。
この水域内の計画上必要とされる場所に、都市廃棄物、東京湾浚渫土等によって埋立島をつくる
(X:第3空港、Y:ハブ空港、Z:国際機関・IT政府などのように)。
横浜と向い合う部分には自由貿易島、幕張に向い合う部分には首都圏を対象とする市場(魚、肉)、千葉に向い合う部分には
新規制による定住都市(内陸の老朽化した団地の移転)等必要に応じた内容をもつ埋立島都市をつくる。
どのようなものが求められるかは、時代に応じて、州政府と向い合う湾岸各自治体の協議で決めればよい。
州政府がコントロールすることによって、重複する都市機能が無駄に建設されることを防ぐことができる。
大阪湾における関西空港と神戸空港という愚を避けることができるわけである。
但し、必要なことは、湾岸自治体のウォーターフロントとバーチャル都市の間に横たわる2kmの水域は手をつけず、
そのままの状態を300年にわたって保ち続けることである。これは東京湾に自然を回復させるための重要な戦略である。
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<図-20-3> |
バーチャルシティ海上都市を制定し、その中へ東京湾に関わる諸問題の解決の糸口を見つけてゆく。
直近プロジェクトとして
X 国際第三空港
Y 流通ハブ港
Z 埋立島における国際機関の誘致
- ITネットワークによる道州制――IT政府
10「町村合併をIT手法で行う」(図20−2、デジタルネットワークによる領域形成)の中で述べている手法を敷衍して道州制に
もってゆく。
現在進行中の町村合併の如きアナログ手法によって道州制を指向するならば現行の府県制度を廃止して新たに道州制を制定する
という道を選ぶであろう。この廃藩置県の如き改革は明治革命のような体制変換期(革命)ならば可能であるが、現状では難しい。
現行府県はそのまま存続させながら、その上にITネットをツールとする広域政府(州)の網をかぶせる。
広域IT政府が掌管するのは税徴収、交付税等の財政配分、医療、保険、治水、道路、山林等の広域行政である
都道府県がもつこれらの行政は州政府へ移管する。(担当者の移管も含めて)
基本自治体(市町村によるコミュニティ)が定着してしっかり機能し、州政府のネット行政の網が確実に結ばれれば中間
の府県行政は次第に縮小されてゆくだろう。役割を終えれば消滅してもよい。
道州制を導入するにはこのようなソフトランディングが最良の方法である。
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<図-20-4> |
- 州政府の在り方――東京DCについて
<東京DC2300>によるヤジロベエ構造の都市は広域行政(道州制)の州都の役割をもつ。人口約63万の都市
(都心5区の総人口)である。州庁舎は埋立島Zに配置するのが好ましい。埋立島が建設されるまでは臨海副都心に仮住まいする。
州政府は関東州(新潟を含める)をネットするIT政府であり、前述の如き税徴収、交付税配分、保険、介護医療、道路、治水、山林、
農業、等広域行政を行う。従って、市民生活に密着した基本自治体(都心5区)の政体はそのまま存続させる。<図20−5>
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<図-20-5> |
- 4.東京DCの中の「三権」の存在――日本政府
ヤジロベエ構造の東京DCの中には現存する「三権」が含まれる。三権の都市景観の質は国際的に高いレベルのものであり、
変革を求める筋はない。
<東京湾からの発信>(又は<新しい日本をつくる会>)がラインを引くコンセプトに従って景観補填をしてゆくのみで、
十分に国際的評価のえられる「三権の姿」が完成してゆく。「三権政府」は国防、外交、国家財政、食糧、国土保全及び
国土のグランドプランを掌管する。
首都移転問題は自然消滅する。
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<図-20-6:三権の丘 中央政府> |
- 「首都」の危機管理――第2首都、第3首都
危機管理の最良の方法は、ダミーを準備することである。大阪湾、伊勢湾に東京湾におけると同じように「ヤジロベエ構造」
の都市を制定し、それらを第2、第3首都として危機に備える。
第2、第3首都は、同時に近畿州、中京州の州都となる。大阪湾、伊勢湾に腕を伸ばすことによって海域のコントロールが可能になる。
例えば大阪湾にのびる州都に、関西空港、神戸空港二つの国際空港は過剰であることが明瞭になる。むしろ、関西空港と神戸とを
海中トンネルで直結することの方が効率的でメリットがあることが解る。
ヤジロベエ構造都市の州都は大阪、名古屋等の既存大都市は避けて、過疎の都市に置く。地方における大都市集中を避けるためである。
<図20−7>
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<第二首都関西> |
<第三首都中京> |
<首都「東京DC」> |
<図-20-7> |
−第二、第三首都− |
- 州政府の配置
前述したように州政府はその地方(道州)の過疎地に配置する。
北海道ならば集中の顕著な札幌ではなく、網走に置く。<図20−7>北海道に対するIT州政府を越えて、ロシア、
北方領土をのぞむ政府としての役割をもたせる。
中国四国州(瀬戸内州)ならば瀬戸内海の島(例えば直島)に州都を定める。
国土再編に当っては、海をどのように国土計画に組込むかということが重要なテーマとなるので、海域に注目する。
しかし、海域を開発するようなものではなく、むしろ、保全を考える。
沖縄ならば那覇都市群(合併が好ましいが、又群都市でもよい)と名護の中間に州政府を配し、海域に張り出して米空軍基地
(フロート構造)を抱く。州都はアジアに対する外交に対するから、アジアに対する警察的役割を担う米空軍基地を抱き込むことは
戦略的配置といえる。
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<図-20-8-1> |
<図-20-8-2> |
@ 北海道 G 沖縄道
H 青函州